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健康講座「心臓のお話」

2022/02/02

しずさと診療所 医師 岡野高久

高血圧はじめ生活習慣病は健康寿命を妨げる大きな要因です。12月4日開催の健康講座において「心臓のお話」というタイトルで、( 1 )心臓のつくりと働き、( 2 )高血圧と生活習慣病、( 3 )心臓の病気:狭心症、心筋梗塞、(4)心臓の病気:不整脈、(5)動脈硬化について、に関して話をさせていただく機会がありました。今回は心臓の働きと高血圧について、次号に心臓の病気について掲載します。

(1)心臓のつくりと働き

心臓は人の握りこぶしより少し大きい程度の大きさで、胸部の正中よりやや左に位置しています。4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)と各出入口に4つの弁を持つ構造です。心臓は1分間に5リットルもの血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。これにより脳、肝臓や腎臓といった全身の臓器に酸素と栄養を送り届けているのです。1分間の脈拍を70回とすると1日に約10万回、人生100年時代と言われている昨今のレベルでみると一生になんと37億回も拍動している働き者なのです。

(2)高血圧と生活習慣病(図1、2)

高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病は、食事や運動など日常生活との関連が強く生活習慣病と呼ばれ、動脈硬化に起因する病気を引き起こします。血圧とは体内を流れる血液が動脈の壁を押す圧力のことです。高血圧の基準値は年齢や合併症によって多少異なりますが、家で測った血圧(家庭内血圧)で収縮期血圧(上の血圧)が135mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が85mmHg以上の場合、また診察室で測った血圧(診察室血圧)で収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と診断します。
高血圧が怖いのは、多くの場合、自覚症状がないことです。動脈硬化が進行して自覚症状がないうちに突然の脳出血をきたしたり、持続的な高圧負荷で心臓や腎臓の機能低下(心不全、腎不全)など、死に至る危険な病気を引き起こすことです。血圧が高いことで頭痛、めまいや鼻血などの症状がでる場合もありますが、それは高血圧性脳症の症状で危険な兆候です。
高血圧治療の目的は脳卒中や心筋梗塞を予防して健康寿命を延ばすことで、高血圧の治療と予防は「血圧をコントロールすること」につきます。適切な血圧目標値をしっかりと意識して、日常生活で「塩分の摂り過ぎ」「運動不足」「肥満」「ストレス」など血圧上昇の要因を排除することが大切です。必要に応じてお薬の治療も行います。

昨年4月より循環器専門外来(水曜日)を開設しています。胸痛、息苦しさ、動悸、足のむくみ等、心臓が原因かもと思う症状や高血圧、高コレステロール血症、糖尿病をはじめ生活習慣病など気になることがありましたらぜひ受診されることをお勧めします。

※当日のスライド原稿のプリントをご希望の方は本部までご連絡ください。


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