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よりよい在宅医療のために~「退院前合同検討会」の紹介~

2017/09/06

しずさと診療所所長柄澤正人

◎しずさと診療所では、開設当初から在宅医療には力を入れて取り組んでいます。
在宅医療とは、外来通院が困難な患者さんをご自宅で診療していくことです。脳梗塞などでなかなか動けない方、ご家族が連れてくるのも大変な方などに訪問診療をしています。在宅で過ごされている癌の末期の方も含まれます。

◎癌の末期の方は、ご本人ご家族とも在宅での看取りを希望される方が多く、特に最近は基幹病院での入院から在宅への紹介が急増していて、頻回の訪問診療で診ています。
この場合、退院後、当方の訪問診療で診ていくためには、退院の前に、事前に入院している病院からの詳細な情報が必要です。
病気・病状の詳細についてはもちろん、食事は食べられるか、排尿、排便はどうか、痛みはどうか、どの程度か、寝起き、トイレ歩行、入浴など日常生活はどれぐらい可能なのか、などの情報を退院前にあらかじめ知らないといけません。食事は胃ろう(腹部に穴を開けて直接胃に管を通して栄養剤を入れる)や、経鼻栄養(鼻から胃へ入れたチューブを通して栄養剤を入れる)か、排尿は自分で排尿できるか、オムツか、膀胱にカテーテルが留置されているか。痛みがある場合、どのような痛み止めが処方されているか、薬の内容はどうか、点滴は必要なのか、などなど多岐にわたります。

◎そこで退院前に詳細な情報を得るために、入院先の病院で、病院と診療所の「退院前合同検討会」を開きます。
そこでは、病院の医師、看護師その他のスタッフ、診療所の医師、看護師、訪問看護師、デイやショートを利用する予定なら介護のスタッフ、リハビリのスタッフ、そして重要な存在のケアマネージャーも参加します。患者さんのご家族、患者さん自身も参加します。これにより、ベッドの準備、車いすの準備、訪問看護の準備、訪問診療の日程など退院してからの生活・療養についてのきめ細かい準備をして、退院してからの生活・療養がスムーズにいくようにしていきます。

◎もうひとつ大事なのは、退院前のこの検討会の場で、患者さんやご家族に直接お会いすることで、お互いの信頼関係を築いていく第一歩になっているということです。
退院してからお家で初めて患者さん、ご家族にお会いするのとは全く違います。
この両方の医療機関と患者さん側が一堂に集まる「退院前合同検討会」はとても重要で、もし病院側に開催の予定がないようなら当方からは是非開催してもらうように要求することもあります。
患者さんの退院後のよりよい生活、療養を退院直後からスムーズに継続し、維持していくためには欠かせないものと考えるからです。

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